大学の頃の研究が、オーストリアで開かれていたMoMM2013という国際会議のショートペーパー部門で表彰されました。うれしい! ただ、(~♥~)は既に大学を卒業してしまった身なので、英語論文を書き上げたのは先生です。つまり、私の論文が表彰されたというよりかは、私の研究アイデアが認められた、という印象ですね。先生に大感謝です。
MoMMって何?
MoMMはモバイルコンピューティングとマルチメディアを取り扱う国際会議です。モバイルのMo+マルチメディアのMMで、MoMMというわけです。この国際会議では研究初期のアイデアなどを発表するショートペーパー部門があり、この部門で私の研究テーマ「同時押し暗証番号認証」が表彰されました。
何を表彰されたのか
当時の私の研究テーマは、暗証番号認証をなんとかしてより安全にすることでした。いろいろな認証方法を考え、あーでもないこーでもないとやっていたそんなあるとき、研究アイデアの元となるアイデアをひらめきました。
「複数の数字を同時に入力できたら、入力できるパターンが増えるんじゃないか?」
たとえば、4590
という暗証番号を考えてみます。普通の暗証番号認証では4590
と入力できるパターンは1つしかありません。
しかし、1度に入力できるのは1つの数字だけという制約を取り払ってみると、4590
という数字から実に8つのパターンが生まれます。しかも、そのパターンの中には「1つずつ数字を入力する従来と同じパターン」も含まれますから、従来と同じ入力方法のままでも使うことができます。つまり、使いやすさが落ちることはまずありません。
まとめると、この「同時押し暗証番号認証」とは従来の暗証番号認証よりも安全で使いやすさが変わらない新しい暗証番号認証なのです。ふつう、安全性と使いやすさというのはトレードオフの関係にあり、使いやすさを犠牲にすれば安全性を高くすることは簡単です(たとえば、100桁パスワードとか。超安全だけど使いやすさは絶無)。なので、認証手法の分野の研究は、安全性と使いやすさの両方を大事にしないと認めてもらえません。この研究では3倍も安全になるのに使いやすさが変わらないことが評価されたのでしょう。
また、実現するのに特別な装置が必要ないことも良さの一つです。特別な装置はまったく必要ないので、たとえば、iPhoneのロックなんかはソフトウェアを少し変更するだけで3倍安全にできます。場合によってはATMでもソフトウェア部分をいじれば3倍安全にできるかもしれないというパワーを秘めています。
同時押し暗証番号認証の良さをまとめると、
- 3倍安全
- 使いやすさは変わらず(その上もともと暗証番号はかなり使いやすい)
- 特別な装置が必要ない
ということになります。
言いたいことはわかったからお試しさせろ
- 「Try」ボタンを押した後、暗証番号がセットできます。
- その次は認証モードになるので、セットした暗証番号で成功するか確認することができます。
- 認証結果が表示されたあと、暗証番号のセットモードに戻ります。
※PCで同時押しするにはキーボードを使ってください(一応マウスでも操作できます)。